[1999/11/1]
[第6回] 春のアンティークジュエリー、春のタイの旅より
平成11年 桜そして新緑の頃
季節はめぐり、桜から新緑の頃となりました。 暖かくなってきたので、これからまた美術展や 骨董店めぐりを再開したいと思っています。 今回は、その第1歩として訪れた那須高原のアンティーク ジュエリー美術館のほか、久しぶりのクリスティーズ(東京ですが) でのプレビューの様子などご紹介しますね。
Mme.Chiyoko
春間近になると、なんとなく明るい春の色や、宝石の輝きを目に入れたくなる私、ジュエリー見学にあちこち出かけていました。
日本のアンティークジュエリーの本や GIA Japanの会報誌によく名前の登場する 穐葉昭江さんのコレクションが展示されている 穐葉アンティークジュウリー 美術館へ、一路那須高原まで。 すっきりとした外観の建物の1階に展示されたコレクションの質と量には驚き。 残念ながら手にとって見ることはできませんが、細部を見たい方には ルーペが貸し出されます。19世紀ヴィクトリアンのものが中心で、 私がもっとも気にいったのは、19世紀中期イギリスの象牙でできたブローチ、 花束を持つ女性の手をデザインされたもの。象牙のアイボリー色の手はなんとも 美しいものです。 ジュエリーに混じって、銀製品なども少し展示されており、那須方面へ行かれた時はぜひお立ち寄りを。また銀座の穐葉さんのお店グレールでは、 ミュージアムにおいてあるような超大作ではないけれど 美しいアンティークジュエリーが販売されていますよ。穐葉昭江著”アンティークジュウリー:19世紀ヴィクトリア時代の装身具”もよかったですよ。
さて、次は新宿三越で開催されたティファニー展へ。ジュエリーのみならず、ジャポネスリー文様の銀器や大型のトロフィーまでいろいろあり。有名なジュエリーのいくつか、実際に見てその大きさと輝きは格別。ヨーロッパの王侯貴族向けのものとはまた少し違う大ぶりのデザイン、ハリウッドスターやアメリカンドリームを手に入れた人達が愛用していた背景があったのでしょうね。
香港クリスティーズの宝石専門家エドモンド・チン氏のギャラリートークが あると教えてもらい、久しぶりのクリスティーズ、心踊る思いで行ってまいりました. 今回は4月末香港でオークション予定の翡翠コレクションと、 "Magnificient Jewelry"クラスの宝石コレクション約200点が 展示されていました。
さて、クリスティーズは銀座のビル内にあります。 エレベーターから降りるとそこには警備員の男性が。。そしてドアを開けるとまずは受付。 この手順もちょっとNYとは違いますよね。 そしてそこは宝飾品の世界です。。。 一歩中に入って、まず圧倒されてしまったのが、入口近くのショーケースの前で、 2〜3千万円相当のサファイアとダイアのネックレスをトライされているマダムお二人の姿。。 お帽子に華やかなスーツ姿のお二人、やはりここはクリスティーズ!という感じです。 でも私達も圧倒されてばかりはいられません。ドキドキしながらショーケースから出してもらい 手にとってはため息です。また、翡翠のコレクションというだけあって、 その横にはチャイナドレスに身をつつみ、翡翠のイヤリングと ダイヤの髪飾りというオリエンタルの女性、ダークスーツの西洋人のカップル、などなど なかなか刺激的です。そして、クリスティーズNYから来られたという係の女性と 英語でちょっとした会話をすると気分はNYです。
さて、ギャラリートークが始まり、今回の注目商品のいくつかについて 説明がありました。Tiffany、Schlumbergerのエメラルド、ダイヤモンド、18金で花びらの形に つくられたイヤリング(推定400万〜500万円)。これは花びらすべてを自由に動かすことができるので、 花びらの位置によってまったく違う雰囲気を楽しめます。このような細工はかなりの技術を要するとのこと。 私も後で実際に耳につけさせてもらいましたが、かなりのボリューム感に驚きました。 その他、世界最大といわれるBriolette cutのブローチにはその大きさとかもし出す繊細さに感激。 またエドモンド氏のお話によれば、翡翠の数珠玉ネックレスはダイヤのネックレスよりも価値大とか。 なぜならば一連ネックレス分の翡翠の玉をそろえることはとても大変で、コストも莫大だそうです。
約1時間ほどのプレビュー体験でしたが、本当に満足、外に出たら、銀座の大通りが NYのパークアベニューに見えたのはどうしてでしょう。。また次回が楽しみです。
Jim Tompsonの収集物から
東京ではまだ肌寒さの残る3月に、既に真夏の暑さのタイの首都バンコクとプーケット島を訪れました。 日本とはかなり異なる黄金色の寺院や仏像が印象的なタイの仏教美術ですが、 小乗仏教ということもあり、今私が骨董学院で学んでいる日本の仏教美術の原点を感じさせてくれます。 それにしても、突き刺すような日差しにきらきら輝く黄金の建物は、とてもエキゾチックです。
さて、オリエンタルホテルからフリーシャトルボートがあるリバーシティーモールは只のショッピング モールと思うと大間違いで、なんと一大仏教美術アンティークモールです。 冷房のよく効いた暗めの照明のモール内を歩いていると、まるで博物館を歩いているよう。 飾られているのは大物が多く、家に十分なスペースがあってオリエンタルものを飾りたい人向けです。
渋谷の東急にも支店 があるタイシルク王Jim Thompsonの家も訪れました。アメリカ人の彼が収集した タイの美術工芸品が所狭しと並べられ、タイ陶器も特に説明はありませんでしたが、 かなりの出来のものです。仏像や絵画のコレクションも素晴らしいものなのですが、 観光客が気軽に触ることの出来る状態はちょっと疑問です。
なお、Jim Tompsonの家から歩いて10分ほどのところにあるマーブンクロン・センターは、 活気の溢れたショッピングモールで、私はここでコットンの服を3着9000円ほどで手に入れて 以降タイ女性気分で着ていました。機会があればまた行ってみたいモールです。
アマンプリにて
今回宿泊したホテルは、バンコクではオリエンタル、プーケットではアマンプリと、 それぞれ世界的にも有名なホテルです。今回の旅でどちらが良かったというと、 結論から言えば、ザ・オリエンタルでした。 アマンプリは建物やビーチの美しさは想像通りでしたが、オペレーションはバリのアマンホテルと 比べると緻密さに欠け、ミニバーのワインが変質していたり、私語が多いだけでなく、 トラブルを客のせいにするスタッフがいたりなど、少し興ざめでした。 宿泊客が多いせいか、プール近辺では アマンキラの様な静寂感は感じられず、 カップルよりも子供もいる家族のためのリゾートという雰囲気でした。 静かな隠れ家リゾートを期待しすぎてはいけなかったようです。
それに比べて、最近はバンコク一位の座を奪われたともいわれているオリエンタルホテルですが、 より規模の大きいシティホテルにもかかわらず、私達の顔を覚えて名前で呼ぶ親切丁寧なスタッフには プロ意識が感じられ、まず感心します。そして、 朝少し遅くのブランチを風に揺られながらリバーサイドテラスで取る幸福感は、 ここに来た事のある人でないとわからないでしょう。まだ朝の涼しさの残る中、 チャオプラヤー川を往来する小船を眺めてオムレツとフルーツジュースを頂いているだけで 本当にリラックスできるのです。夜のテラスはライブ演奏付きのバイキングレストランとなり、 モンゴリアン式焼きそばやビールを飲んでいるとちょっと日本のビアホールみたいでも ありますが、もちろん上品です。 ホテルのフリーシャトルボートに乗るのがまた楽しく、 前述のリバーシティーモールや、対岸のタイレストランおよびスパに行くことが出来ます。 スパがこれまた素晴らしく、暑さでグロッキーしていた体に天国のようなマッサージが与えられて、 完全に体力を回復することが出来ました。
そして、アメリカ系ホテルと違いを感じるのは、全ての場所にドレスコードが存在することです。 例えば、ロビーは昼間はカジュアルで良いのですが、夜はTシャツ姿は遠慮しなくてはなりません。 ドレスコードがあることで、全体的に気品を感じさせてくれます。 オーナー主催のauthor's loungeでのパーティーには私達にも招待状が届きましたが、 そこはタイの社交界を見るかのように盛装した人々が溢れていました。 カジュアルな服ばかり持っていった私はちょっと失敗したようです。次回は、しっかり 沢山のドレスを持っていかなくては。
他にもタイ舞踊レストランなどの多くの施設があり、とても3泊では全てを 楽しむことは出来ないほど充実していました。オリエンタルホテルは 若い人向けではありませんが、マダムを目指す人にとっては一度は訪れなくてはならない所です。 もっとも私は、まだまだ修行が必要です。