Madam's lounge

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No.13[1997/11/09版]

こんにちは 皆様いかがお過ごしですか? 10月末のハロウィーンには、 近所にあるお気に入りのイタリアンフードショップの お店のお姉様も、なんとバットマンのコスチュームと メイクでレジに立っていました!

こちらは紅葉と落葉とで、なんともいえない 美しい秋の景色が広がっています。 気温は低い時で摂氏10度,少し暖かいと摂氏15度と 夏から一気に寒くなりました。

Radio City Music Centerの飾り付け また、ロックフェラーセンターには既にアイスリンクが登場し、 Radio City Music Hallでは、 もうクリスマスの飾り付けと クリスマスのミュージック・ショーが始まっています。 Radio City Music Centerの飾り付け

さて、今月はアメリカのgilded ageを訪ねるシリーズ最終回に ふさわしい Newport(ニューポート)への旅のお話、 10月中旬にNYCで行われたInternational Antique Showの お話、クラスで訪れたアンティークディーラーのご紹介、 カーネギーホールでのコンサートのお話、 またNYCで映画のロケに遭遇のお話など、 お届けしますね。


The International Fine Art and Antique Dealer Show

会場のArmory(兵器庫) 入口 Park Avenue 67丁目にあるArmory で今年も 10月17日〜23日まで
International Fine Art and Antique Dealers Showが行われました。 ヨーロッパとアメリカ内の最も格のあるディーラーが 参加することで有名で、今年で10年めになります。

私は、ルイーズ先生率いるDecorative Artの歴史のクラスから 見学に行きました。まず、会場となっているArmoryとは 昔の軍の兵器庫で、外観は煉瓦作り、重厚な扉を開けると 高価なアンティークのショーケースとなっています。 私達は、まず、このショーのDirectorであるMr. Brian Haughton よりウェルカムの挨拶、そして彼のブースである Brian Haughton Antique(ロンドンにあり陶器主体のようです)へ 案内してくださり、マイセンのシノワズリの置物や 18世紀Chelseaの大皿、シノワズリの大きな壷など 一つ一つ丁寧に説明をして下さいました。

興味深かったことは、化学塗料の発明される以前の 17世紀の絵皿の色合いは、なんとも薄く優しい感じのもので、 それ以降は多色化したもののくっきりした色合いに 変化していった様子が一枚づつ眺めながら はっきりわかったことです。


アンティークディーラー訪問


  1. Clinton Howell (19 East 74th) 入口 英国家具専門

    タウンハウスの小さな一室なのですが、 まるでイギリスの古い邸宅のリビングに招かれた ような気分になるすてきなお店です。 とても紳士的なオーナー、Howell氏は NYUでイギリス家具の講座でレクチャーもなさっています。

  2. Kentshire Galleries (37 East 12st) 外から眺めて 18世紀・19世紀家具、絵画等

    ダウンタウンにある有名なディーラーですが、 なんと当日は急遽店内では大規模な棚卸しが 行われることになったそうで、残念ながら 外から眺めるだけとなってしまいました。

  3. Scalamandre (3rd Ave Bet. 56st & 57st) テキスタイル専門

    こちらは通常はインテリアデコレーターしか 入れないそうですが、”シノワズリ”の クラスで訪問しました。 こちらのテキスタイルはホワイトハウスの内装にも 使用されているそうで、とてもどっしりした感じの サンプルが展示されていました。 また、最近はNY市内のアパートでは、”シノワズリ”の 壁紙やカーテンなど大変人気があるそうで、一番人気の パターンは、ユニークな中国服を来た男の子、五重塔、 孔雀や南国のエキゾチックな花が一面飛び回っているというもので、 このパターンを使って、壁紙からカーテン、ランプに至るまで そろえると、どんな感じになるのでしょうね。


Bard Graduate Center for Decorative Art Studies (BGC)

BGCの建物 セーブル陶器展のポスター

ここは、アッパーウエストサイドの素敵なタウンハウス内に あるDecorative Arts(装飾)に関する勉強ができる 大学院です。こちらでは、私の通うNYUと同じように 一般人向けの公開講座もたくさんあります。 私も、先日ジャクリーン・ケネディーがどのように ホワイトハウスの内装を改修したのか、というテーマの 講座に参加しました。 通常、このような1日講座は、専門家が話題の新しい本を 出版した時に合わせて行われており、 今回私が参加した日にも、1時間半のレクチャーの前には ワインとチーズのレセプションと、サイン会が行われました。 私はもちろん、著書にサインをしてもらいました。

さて、レクチャーによると、ジャッキーは、 ホワイトハウス に入った当時、内装は古くなっていた上、歴史的(美術的?) 価値のあるインテリアでないことに気づき、専門家のチームを 組んで改修に取り掛かり、成功し、現在のホワイトハウスの インテリアを完成させたそうです。 この改修チームには、以前このHPでもご紹介しました アメリカ家具の収集家であり、 Winterthur美術館 のオーナーであるデュポン氏もアドバイザーとして参加していたそうです。 ジャッキーの美術品およびアンティーク、インテリアに対する 知識と感性は大変すぐれたものであったそうです。 また彼女は数々の著名なコレクターとのコネクションも利用して 必要なアンティーク家具を寄贈してもらうようアレンジするという ビジネス面でも才能を発揮したとのことでした。

このBard Graduate Centerは、1階がギャラリーになっていて 3ドルで見学することができます。現在はセーブル陶器展が 行われています。またこの展示に関連したプログラムも いくつか行われているようです。


ウッディ・アレン監督の映画のロケに偶然遭遇!

さて、先日友人とマンハッタンのウエストサイド54丁目付近を 通りがかると、なにやら映画館の前に人だかり。。。 でも雨も降っていないのに、全員傘を持っているし、 服装もみんななんとなくちょっと季節はずれ。。 よーく見ると、なんとあの俳優ケネス・ブラナー氏が 笑顔で立っていらっしゃいます。 劇中に登場するらしい映画のポスター そして、ポスターを見ると、女優メラニー・グリフィスの アップが。。。また周りには、”エキストラはこちら”などの 看板があります。

どうも、新作映画に使う、雨の夜の映画館でのシーンの 撮影中だったそうです。友人が後日調べると、監督は 私の大好きなウッディアレンとか。 それにしても、マンハッタンではこんなになにげなく 映画の撮影も行われているんですね。 みなさんも、今後この出演者での映画が公開された時には、 マダムチヨコがロケに遭遇した映画と思って下さいね。


カーネギーホール:デュトワ&アルゲリッチのコンサート

New York Timesの カーネギーホール のコンサート案内で私の好きなピアニストのマルタ・アルゲリッチが シャルル・デュトワ指揮の モントリオール交響楽団 と共演するのを見つけました。 でも、広告では"limited Availablity"と書いてあります。 この場合、チケットは基本的には既に売り切れで、キャンセルされた チケットだけが売られるということになります。とりあえずカーネギーチャージに 電話をすると、案の定"Sold out!"と言われてしまいました。

でもここで諦めるのにはまだ早い。コンサート当日にBox Officeで並んで キャンセル待ちをすれば、大抵大丈夫です。

土曜日のマチネ(午後2時からのコンサート)の場合、キャンセルド・チケットは 昼12時から販売されると聞きましたので、私達は余裕を持って1時間前の 朝11時にカーネギーホールに到着しました。この時Box Officeはまだ開いてなく、 一人の女性が立っているだけで、私達は2番目でした。11時半になって、 ポツポツ人が並び出す程度でちょっと早く来すぎたかなと少し後悔。 さて12時には列も30人ぐらいになり、Box Officeもオープンです。 1番の方が早速窓口に駆け寄り係員に聞くと なんとキャンセルチケットは今日はなし!"Oh, my goodness!"

でもコンサートの開始まで待てばキャンセルがあるかも知れないとのこと。 あーあと思いながらも一応順番が2番なので帰るにも帰れずそのまま私達は 待つことにしました。30分経っても何もなし。並んだ人も結構帰りだした ところ、突然係員の人のチケットが数枚出たよとの声。やっぱり、1時間前から 並んだ甲斐がありました。手に入れたチケットはオーケストラシート中央の 最高席でした。

初めて見るアルゲリッチ女史は、予想に反して、かなり貫禄のあるおばさまでした。 でもその演奏は、ラベルの難曲を暗譜で軽々と弾きこなす、本当に 素晴らしいもので、曲が終わっても観客は総立ちで拍手がやみません。 あまりの拍手にアルゲリッチとデュトワはピアノ協奏曲の第3楽章を なんともう一度演奏しました。 私はアルゲリッチの素晴らしさに感動するとともに、 ニューヨーカーがいかにアルゲリッチの大ファンであるかを 十分思い知らされたのです。

コンサートの後半は、モントリオール交響楽団による ホルストの組曲惑星 が演奏されました。 この曲はポピュラーなのですが、編成の難しさから (チェレスタや2台のハープ、女声コーラスなどが必要) 実際に演奏されることが少ない曲です。最初の"火星-The Bringer of War"では 大編成オーケストラのフォルッテシシモのものすごい迫力! デュトワは指揮台でジャンプしながらの演奏です。 そして、"木星-The Bringer of Jollity"。 イギリスのフォークソングを基にしている有名なこの曲はダイアナ妃の 大のお気に入りだったそうです。この曲は彼女の結婚式で演奏され、 そして葬送にも再び演奏されました。

組曲の最後は"海王星-The Mystic"。この神秘的な曲では歌詞のない女声コーラス がありますが、彼女たちは楽屋で歌うことがホルストによって指定されています。 この為、姿の見えない女声コーラスの出現に会場は一瞬ざわつきました。 半開きのステージのドアの隣に置かれたビデオカメラに向かってデュトワは 指揮をしたのですが、曲の最後はドアが少しずつ閉められて、 コーラスは宇宙の彼方へと消えて行ったのでした。


Newport Mansions (1748-1902)

ロードアイランド州にある小さな島、 Newportには19世紀末の gilded ageに夏の避暑地として栄え、富豪達が競うように 避暑用の大邸宅を建てたものでした。 現在その幾つかが公開されていて、私達も見学に行きました。 これらの大邸宅は、ヨーロッパのお城やカントリーハウスの 雰囲気を真似ています。 今回、私達が訪れたのは、以前HPでもご紹介したVenderbilt家の"The Breakers"と "Marble House"、ペンシルバニア州の石炭王Berwind家の "The Elms"です。

"The Breakers"は、1895年に建てられ、 このあたりで最も大規模で16世紀の北イタリアのお城を モデルにしていて、ここでパーティーやデビュタントの舞踏会が 開かれたそうです。大西洋を一望できる位置にあり、夏のひとときを 優雅に過ごしていたそうです。

入口の外観 入口の柱 シノワズリのティーハウス
"Marble House"は、1892年に建てられ、 最も内装が絢爛豪華で、マーブルと金箔が ふんだんに使われ、ベルサイユ宮殿の鏡の間を思い出させます。 海を眺める広い庭の先には、中国風のTeahouseが建てられています。 当時から、やはりシノワズリは人気だったようですね。

入口
"The Elm"は、1901年に建てられ、内装はフランスロココと ルイ16世紀様式でまとめられています。

いずれも見学する価値が十分あるのですが、その分人気も高く、 連休中に訪れたせいか、毎回見学ツアーに入るために、 入口で列を作って待たされたのには(Breakersでは1時間以上!)少々驚きました。


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