マダムチヨコの
美術館・博物館散策 

No. 7

東京都庭園美術館
ヨーロッパ・ジュエリーの400年
国立西洋美術館
織り出された絵画 17-18世紀 タピスリー

 東京都庭園美術館    

ヨーロッパ・ジュエリーの400年 ルネサンスからアール・デコまで
(2003/4/24 〜 7/1)
公式HP: http://www.nishinippon.co.jp/jewellery/

訪問日:2003年5月


現代彫刻が飾られた園内


アールデコの館 庭園美術館
(旧朝香宮邸)


美術館入口

現在公開中のヨーロッパジュエリーの400年の記念講演会で、宝飾歴史家であるダイアナ・スカリスブリック氏のお話を聴いてまいりました。スカリスブリック女史の英語でのレクチャーは、NYでのアンティーク講座を懐かしく思い出させてくれます。ダイアナさんはダークグレーのスーツに黒いフェラガモのヴァラという装いも、NYUの先生にそっくり。(NYのアンティーク講座のお話しはこちらでどうぞ)

今回の展覧会は、東京都庭園美術館開館20周年記念ということで、ルネサンスからアール・デコ(1540年〜1940年)のヨーロッパのジュエリー約290点を時代別に紹介する日本ではじめての企画とのことです。

実際に展示を見て、私も内容の充実振りに感心しました。特にこれまでNY中心であった私には、パリのグランサンク(老舗5大宝飾商)のひとつである”メレリオ・ディ・メレー”のアンティークをあれほど数多く見たのははじめてでとても興味深いものでした。作品は海外の所有者から貸し出されたもののほか、日本人の方所有の物も多く、1点づつ”この素晴らしいジュエリーは、今はどなたのものかしら?”と確認する楽しみもありますよ。

さて、ダイアナさんの講演ですが、今回の展示されているもののなかから、特に著名人が所有していたジュエリーについて説明がありました。例えば、スペインのフェリペ2世のカメオ、ナポレオンのカメオ、ナポレオンの妹カロリーヌやイタリア王妃マルゲリータが所有したティアラ、また1927年のクリスティーズオークションにかけられたロシア王朝の18世紀ジュエリーの傑作など。そして、近代ではイギリス初の女性下院議員となったアスター子爵夫人のカルティエのアールデコのブレスレット。いずれもジュエリーはそのジュエリーを身につける人に自信を与え、そしてその人の魅力やアピールしたいポイントを最大限に引き出すものであったとのことです。

ヨーロッパの王侯貴族のためにつくられたジュエリーは本当に迫力がある大ぶりのものばかりです。なかなか日本ではこれだけのものを見るチャンスがないと思うので、ぜひみなさまお出かけくださいね。

なお、この秋には、東京国立博物館でもヨーロッパジュエリー展が予定されているようですので、こちらも楽しみですね。


玄関には立派な狛犬がいます。


世間の批判を恐れて質素に作ったといわれる外観ですが、それでも品格が感じられます。


奥には日本庭園もあります。


ところで、よく知られているように庭園美術館は旧朝香宮邸が数奇な運命を辿った結果として出来たものですが、世界中をみてもこのような建物は珍しく、建物そのものが宝石のようです。今回のような特別展の時は部屋が暗くなってしまい建物内部を詳しく見ることが難しいので、建物公開の時にも是非訪れてみてくださいね。

 国立西洋美術館 

織り出された絵画: 国立西洋美術館所蔵 17−18世紀タピスリー 
(2003/3/18 〜 5/25)

訪問日:2003年5月

この展覧会もみなさまにぜひおすすめしたいものです。5月25日までとあとわずかですが、なんといってもこれだけの大型タペストリー(フランス語では、タペストリーではなく、タピスリーと呼ばれるそうです)7点が無料で観ることができるんですよ。全て17−18世紀のヨーロッパのタピストリー芸術の精華とされる貴重なもので、これまでなかなか公開されることがなかったものだそうです。

タピスリーが絹糸の繊細なもので保存が難しいことのみならず、これまで国立西洋美術館ではたった1点しか所蔵していなかったため、展示されることがほとんどなかったそうです。しかし、今回かつて松方コレクションに属していたもの6点が寄贈され、洗浄修復後、7点同時に展示されています。ほの暗い展示室の壁一面に掛けられた修復されたとても色鮮やかなタペストリーは、一瞬ヨーロッパの古城にいるような錯覚を起こすほど美しいものです。これまで、海外の美術館やNYのアンティークショーやディーラーで古いタぺストリーを見る機会は何度かありましたが、少し色あせた感じのものが多かったので、今回洗浄直後のタペストリーを見て、その色の鮮やかさと深さに驚きました。

絹糸の織り成す色の美しさと、デザイン全体に立体感を出す織りの技術のすばらしさは、200年〜300年前のものとは思えないものです。静かな織物の美しい力に心うたれる7点です。

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