[1999/2/1]
[第5回] 九州・焼物の旅へ、マダムの骨董道・お稽古道
年が明けて早くも立春、しばらくご無沙汰しておりましたが、 皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は昨年末にかけては、念願だった伊万里・唐津へ 出かけたり、アンティークジュエリーの販売を初体験したりと、 骨董歴?年目の記念行事におわれていました!? また新年からは、さらにマダムの骨董道+お稽古道を 極めるべく(?!)、また新たにいろいろ楽しんでいるところです。
今回はそんなお話をまとめてご紹介しますね。 今年もどうぞよろしくお願いします。
Mme.Chiyoko
以前から一度行きたかった由布院へまず立ち寄りました。
宿泊した山荘無量塔(むらた)では、部屋のあちらこちらに
古伊万里の大皿や香炉がさりげなく置かれていて
今回の焼物旅行のムードを高めてくれます。
ちなみに、ここのメインデイッシュの豊後牛のローストビーフは
絶品です。レストランだけの利用もできますので、
皆様も是非どうぞ。
陶土を作っている(?)窯 登り窯 庭先で乾燥
まずは、山間の民陶、小鹿田焼の窯元へ。
そこは本当にのどかで静かな陶芸の世界です。
山間を流れる川沿いに唐臼がゆっくりのどかに土を
砕く音、その先には窯元の煙突から細い煙、
庭先には数々の陶器が乾燥させるために並べられていて、
その中を窯元の方たちが家族総出でもくもくと
働く姿などなど、古き良き時代の1シーンのようで
私にはとても印象的でした。
小鹿田焼の里から、小石原焼の窯元へは、
車一台通るのもやっとという感じの
細いあぜ道を、どうか対向車が来ないようにと
祈りながら40分ほど走った山向こうまで。
小石原焼は、小鹿田焼に比べると
よく似ているスタイルですが、もう少し洗練された感じです。
唐津城で名品の唐津焼を拝見した後
中里太郎衛門陶房へ。りっぱなお屋敷で、展示室への渡り廊下の
下の池には錦鯉が泳いでおり、いかにもという感じです。
次に市街地から10分ほどの中里隆太窯へ訪ねてみました。
ところが、林道沿いにバス停があるだけで、駐車場もなにもなく、
左手にお屋敷、その下に窯があるだけで、
どう入っていけばわかりません。
しかたなく引き返そうとしていたら、そこからひょっこり
仙人のような風貌の隆太先生が現れました。
私達は驚いてあれよあれよと見ていると
先生は長い髪をなびかせながら
ホンダアコードでお出かけになってしまいました。
知らない人が見たら、失礼ながら普通の
おじいさんにしか見えない感じでしょうか。。
とても印象的な出会い?でした。。
トンパイ塀 大川内町並み
大川内山へ。思ったより小さく、
山に囲まれしずかでちょっと寂しい感じのこの村で
陶工達はあの美しい鍋島焼を作っていたのですね.
それにしても、伊万里の町のあちこちに
陶製品が使われているのはさすがです。
香蘭社 今右衛門窯
いかにも老舗という感じの店構えのところから、 モダンで現代的な品揃えの多いお店まで いろいろ道沿いに並んでいます。 今回のお気に入りは深川製磁2Fのアンティークや 献上品の陳列室。あの万博に出品された 大壷などジャポネスリーものを実際に見ることができて感激。 資料も購入でき、今回は”オランダ東インド会社と 有田磁器”井垣春雄著を入手。
さて、柿右衛門窯、想像どおりご立派なお屋敷。 あまりにも立派で中に入るのをためらいそうでしたが、 展示室は意外にも明るく、現代の作品と 過去の名品をじっくり見ることができました。 現代の作品のお値段はデパートなどと 変わらない?
九州古陶磁の名品の数々、そして、 蒲原コレクションの輸出伊万里、柴田夫妻コレクションの 江戸有田磁器は見ごたえ十分で必見です。
広大な敷地の中に復元された、ドイツのツヴィンガー宮殿。 この建物の中には幕末、明治の有田磁器の名品がびっしり。 またマイセンなどのヨーロッパの名品も。 展示されている作品がこんなにも素晴らしいのに 残念なことに規模の割にはビジターが少なそうに思えます。 ご興味のある方はお早めに訪ねられるとよいのでは。。
アウトレットがあり安く買えるようで賑わっていましたが、 もっと工場内をじっくり見学できた方がより楽しいのではと思います。
NHK文化センターでは6回コースの岩崎先生の 西洋アンティーク講座のほかにもおもしろいものがあることを発見。 19世紀のイギリス陶磁器についての1日講座でしたが、 英サザビーズで勉強されたアステリッド・デ・ロス・リオス女史の お話、なかなかわかりやすく、持ってこられたカップやお皿の ホールマークをその場で調べて年代を当ててみるなど ためになり、楽しめました。
今年から骨董学院は青山から代々木に移転。 新教室での私が最初にトライするのは、骨董IIIで、 法隆寺と飛鳥美術、正倉院の秘宝、東大寺・興福寺の仏像、 藤原氏と平安貴族文化、中世古陶研究、桃山陶器研究、そして 江戸時代と伊万里焼など歴史と美術が織りなす日本美術独自の 素晴らしさを学ぶコースです。 学院長の細矢先生は、冬休み中もTVの鑑定番組や、 Bunkamuraでの講演会などご活躍だったようで、 ”ソフトな語り口が人気?!”とのこと。 今学期も授業が楽しみです。
私のジャポニスム熱は皆様もご存知のことと思いますが、 新年早々、新たに日本料理道(赤坂の某近茶流!)に入門することにいたしました。 昨年来の骨董学院での勉強に加え、実際にいろいろな日本のやきものに 触れていくうちに、その器に盛られる日本の食文化とは??と。
しかし、一応帰国子女の私、日本文化の修行ははじめてなので、
好奇心はあるものの、実際ついていけるかどうかはとても不安。。。。
恐る恐る!?初回を迎えて、お教室につくと、まずは
今日の献立と作り方を写し取るようにとの事。
ワカメって、若布と書くのね、などと思っていると、
”順番がきたら、お茶を頂いてくださいね”とのこと。。
お稽古の前にお茶までだして下さるとは、ご親切なことと
のんきに感心していた私ですが、順番がきてびっくり。
お茶というと、"TEA”を想像していた私ですが、さすが日本お稽古道!
お茶というのは、あの茶道のお茶なんですよねぇ。。。
七草粥は私も知っていたのですが、15日に頂くものが
小豆粥とのことです。五穀豊穣を願って1月15日に炊くものだとか。
小豆とお餅入れて炊きあがったお粥に
お砂糖をいれかき混ぜながら頂くもの、なかなか新しいお味。
さて、今日が初回の私達数名には、お出汁のとり方が伝授されました。
お昆布と鰹節でとった出汁をすばやくふきんにとり
絞る作業、これが基本とのこと、なんとか覚えねばと必死の私。。。。
でも、鰹節を静かにひろげ、一気にふきんを絞るなどなど覚えることが。。。
皆様お料理の経験豊富な感じで、
21センチのおなべをとって(よく見ると雪平鍋の取っ手近くに
書いてあるのですが、初心者の私には、どれが21センチで
どれがちがうのかまったくわからない状態!)、といわれてもうろたえる
私とはぜんぜん比べものになりません!
江戸厚焼き卵はお砂糖が入ったもので、だし巻き卵と比べると
日保ちも良くお弁当などに最適とか。
さて、なにもしらない私、厚焼き卵がこんなに難しい作業の繰り返しとは
びっくり。でも、先生がお手本に作ってくださった出来立ての厚焼き卵は
ふわふわと柔らかくとても美味。大根おろしを添えて完成です。
これはさっそく卵焼き鍋を買って、自宅で練習してマスターしましょう。
さて、帰国後東京でアンティークジュエリーの勉強を始めて半年、
先生から、展示会のお手伝いをしてみませんかと、お話がありました。
NYUでJoyce Jonas女史のアンティークジュエリーのクラスをはじめ
GIAでの鑑定講座など多少は勉強したつもりですが、
実際のビジネスは初めて!喜んでお手伝いさせていただくことに。。。
展示会は12月中旬に青山で3日間。
宝石店にお客として訪ねることはあっても、
売る側に立つのははじめて、いろいろ勉強になりました。
まず開店前の宝石店、ショーケースに一つ一つ宝飾品を並べることから。。
ひとつひとつ手にとって眺めながらの作業は素人の私にとっては
結構楽しいもの。これもいいけど、あれもいいなぁなどと
商品ということも忘れてさっそくチェックしている状況!
そして陳列が終わったらショーケースを磨き
お客様を待つばかりとなりましたが、なかなか商売は難しいですよね.
今回はアンティーク半分、現代のもの半分の構成でしたが、
3日間これらの美しい宝石類に囲まれていて
じっくり見ることができて私は本当に幸せ。
さて、この展示会を共同主催なさった宝石商の若社長様も なんと私とおなじJoyce Jonas女史のアンティークジュエリー講座 (毎夏アメリカ東部で行われるジュエリー合宿)を受けられたとのこt。 Joyce Jonasは日本のプロの方々の間でも有名な先生との事。 あらためて、私は貴重な体験ができたものだと思いました.
なお、もしアンティークジュエリーの勉強をされたいと思う方に情報! Joyce Jonasの夏のジュエリーキャンプについての詳細は、
”アンティークジュエリー 世界の逸品”,山口 遼著, 婦人画報社
の巻末に詳細が載っています。 1週間のキャンプでアメリカのプロのディーラーの方々と いっしょにアンティークジュエリーについて勉強でき、 お勧めですよ。
前回NYにあるアンティークボタンショップのTender Buttonsを ご紹介しましたが、東京では日本橋浜町のボタンの博物館で いろいろ見ることができるんですよ。 ボタンメーカーのアイリス本社4Fにあるこの博物館、 平日しかオープンしておらずちょっと不便ですが、 ボタンに興味がある方はいかがでしょうか?
こ