[2000/1/22]

マダムの散策     

 [第8回] 1999年秋 古都の旅


西暦2000年 初春

新年あけましておめでとうございます。

97年末の帰国以来、すっかり日本文化がマイブームとなっていますが、1999年秋〜冬は、古都を散策し過ぎ行く秋の景色、名刹をのんびりと楽しみました。あの静けさと美しさには本当に心落ち着きました。日本文化の奥深さ、まだまだこれから学びたいところが多いものです。

さて、"ミレニアム"、明るくきらきらした響きです。そこで、マダムの2000年代は、今まで興味のあった宝石鑑定をもう少し本格的に学ぼうと思い、GIA Japanでダイアモンドのコースから始めてみることにしました。
これまでのアンティークジュエリーのクラスでの歴史中心の勉強とは少し違い、鉱物学など新たな角度からの内容で、これもまた奥深いものですが、のんびりと楽しみながらチャレンジしたいと思っています。
みなさま今年もどうぞよろしくお願いします。

Mme.Chiyoko


1999年秋 古都の旅

今回の古都の旅は、2000年を前に、私がこれまでお世話になった土地を訪ねる旅でもありました。それぞれの町の美しさや文化の素晴らしさをあらためて発見し、また次回を楽しみにしているところです。

1.京都御所


紫宸殿

秋の一般公開で、京都御所見学に。以前見学した東京の迎賓館の西洋的で豪華絢爛な迫力とは違い、その歴史の古さからでしょう、厳かで静かな迫力です。豪華な襖絵の前には人形とはいえ、十二単をまとった姿をみると、本当にふと当時の様子を想像できる気がしました。やわらかな秋の日差しの中、ふと蹴鞠を楽しむ音が聞こえてきたような。。。

2.名刹&仏教美術を訪ねて

骨董学院での授業で、仏教美術を少し学び、百聞は一見にしかず、と今回は駆け足で見学してきました。


唐招提寺


薬師寺


薬師寺


奈良県知事公邸!!?


ご朱印@興福寺&薬師寺

 

日本最古の天平建築、毘盧舎那仏の唐招提寺へ、薬師寺、そして、国宝の宝庫といわれる興福寺、東大寺 大仏殿・二月堂へ。
見落としてはならないとの細矢先生のお言葉どおり、三月堂の不空けん索観音、日光・月光菩薩など16体の仏像は見ごたえありました。ところで、今回の旅より、旅の記録と自分へのお土産代わりに、ご朱印も集めてみることにしました。本来ご朱印は、納経時のものだったそうですが、現在は宗教的意味合いよりも記念にされる方も多いとか。私のような軽い気持ちでもOKだそうです。墨と朱印はエキゾチックな魅力があり、美しいものだなと眺めています。
さて、奈良国立博物館では、ちょうど正倉院展を見ることが出来ました。今年の目玉の一つ、鳥毛立女屏風、顔や手には当時の色使いが残っており、美しいものでした。これに鳥の毛の衣がついていたら、どんな感じだったのでしょうね。


源光庵


悟りの窓


迷いの窓

紅葉を楽しもうと、南禅寺、永観堂へ出かけましたが、人出も多く、紅葉も少し遅れているようでした。そんななか、洛北の鷹峯は場所柄か、紅葉も充分見ごろで、人出もまばら、ひなびた感じと、アーチように植えられたもみじの小道が、静かな秋の風情。本阿弥光悦が活動していた光悦寺、迷いの窓と悟りの窓が有名な源光庵、そして常照寺など、どれも落ち着くところです。


茶わん坂はこちらへ


京焼の粋なショーウィンドウ


清水寺から

 

清水寺へは、京焼を見ながら茶わん坂を登って。
その他、平安神宮や、三十三間堂、そして、知積院では、長谷川等伯派の国宝障壁画を。そのスケールの大きさに驚きました。お土産に京焼の器をと探してみましたが、敷居の高そうな店構えの所も多く、さすが京焼!しかも、種類も豊富で、結局決められず帰ってきました。しかし、あの美しさと繊細さが忘れられず、なんと東京に戻ってから、銀座の東哉で、お正月用にちょうどよい手ごろな器を見つけ購入しました。


入口

日本各地の民家を参考に河井寛次郎が設計。民芸の精神と美意識が、穏やかながら、凛とした空気の中、作品を鑑賞できます。

さて、ここは、以前から訪れてみたかった明治の洋館で、当時のたばこ王村井氏の別荘だったものとか。インテリアはルネッサンス様式、ルイ15・16様式で重厚感あり。さらに、棚にはマイセンの人形や、セーブルらしき食器が飾られている歴史を感じる空間で、気軽にお茶や食事ができることは、嬉しいですね。

3、伊賀上野 


上野城&古陶館


現代作家物

 

さて、伊賀焼の器、その歴史は古く、最盛期の桃山時代には茶道具中心だったようですが、現在は日常に気軽に使えるものが多く、雰囲気の似ている信楽焼や備前焼と共に、私も好きなものの一つです。

上野市駅近くの伊賀信楽古陶館は本当に小さなところですが、古いものと現代作家ものを一度に見るには便利です。東京でも展示会をされる作家さんも多いので、ぜひ伊賀焼をもっと見て楽しんでください、とのお話でした。みなさま機会があればぜひよろしく!


懐かしい母校・背後に上野城

昨年創立100周年を迎えた上野高校は、歴史的建造物となっている木造の洋風校舎と手入れの行き届いた松など、クラシカルな雰囲気で伊賀上野城のふもとにあります。ここは、私がNYへ転校するまで約1年半通学した学校。今回10何年ぶりに訪ねてみました。当時、体育の時間のマラソンコースだった上野城、芭蕉の俳聖殿や忍者屋敷など、今も変わらない古い伊賀の町並みをひさしぶりに楽しむことが出来ました。

三重県といえば、伊勢志摩。今回は、志摩観光ホテルへ。有名なフレンチシェフ、高橋氏のレストラン ”ラ・メール”で食事を。ランチでしたので、シェフの醍醐味を100%理解出来なかった気もしますが、私の目をひいたのは、ホテルオリジナルの大倉陶園の洋食器です(デザインはシェフが考案されたものだとか)。青海波や鶴、その他、日本的な文様を洋食器にアレンジされていて、日本的な色合いといい、東洋と西洋のミクスチャーが気に入りました。レストラン内の棚には、数十種類のデザインのお皿が飾られていますので、行かれた際には、ぜひ一度御覧くださいネ。

 

1999年晩秋 〜 2000年お正月 マダムが訪れた美術展


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